アダルトチルドレンは幸せになれます。

アダルトチルドレンという言葉をお聞きになられて、どのような人間像をイメージするでしょうか。

子どもっぽい大人、大人っぽい子ども・・・初めて耳にする方はこのようなイメージを抱くかもしれません。アダルトチルドレンとは、現在の生きづらさが親子関係に起因すると自ら認めた人のことを言います。

例えば親から暴力を受けて精神的に過度な緊張感を持って家庭で過ごさざるを得なかった幼少期。親の代わりに祖父母や家族の面倒を見なければならなかった環境、優秀な成績を求められ、１００点を取ることが当たり前であり、褒めてもらえない状況、親が過保護過ぎて、すべてを先回りして与えて過ぎるために、自ら何かを選択する機会を奪われたまま大人になった、等さまざまな状況が考えられます。

そのほかにも親同士の不仲や家族の健康面が影響をして日常生活を送るために非常に苦労の多い家庭環境といった、子どもが成長するために必要な安心安全な環境が保障されていない状態を「機能不全家族」といいます。

子どもの頃、大人の顔色を伺いながら、周囲に気を遣って生き抜いてきた人は少なくありません。幼い頃から身についた生きる術が、大人になった今も長年の癖や習慣として残ってしまうのです。この習慣は恋愛関係や夫婦関係にも影響を与えますし、ご自身が子育てをするときに、「あの頃」が蘇り、不安を抱えたり辛い思いをされることもあります。

「過去と他人は変えられない」といいますが、この辛い過去を抱えたまま,これから生きていくには不安でしかないと思われる方もいらっしゃるでしょう。

アダルトチルドレンは治るのでしょうか？

アダルトチルドレンの治療法はありません。アダルトチルドレンは完治しません。

しかし、ご自身が人生の課題に取り組むことで、回復し続けることができます。

人生の課題とは何でしょうか？

それはおひとりおひとり、育った環境によって違います。親から何を与えられ、何を与えてもらえなかったのか？何をして欲しかったのか？どんな言葉を掛けて欲しかったのか？ひとつひとつ思い出しながら、あの頃の自分と向き合う作業が必要となります。その作業のなかで、自分の人生のクセ、ついやってしまうこと、陥りがちな思考パターンなどを見つけ出して、どうしたらもっとうまくいくだろうか？自分を大切に出来るだろうか？自分と他者との境界線の確保はどんな感じだろうか？など自分なりの答えを見つけていくのです。

ですからアダルトチルドレンからの回復の答えは、お一人お一人違います。巷にあふれる「これをすればあなたは幸せになれる！」というビジネススピリチュアルの甘い誘惑に惑わされることなく、しっかりとご自身を見つめて、ご自身をケアすることが必要となります。

アダルトチルドレンであることは、ご自身の過去を受け入れ、過去と向き合い、自分の育て直しを出来る非常に勇気のある人たちなのです。

世の中には承認欲求を満たすために、人を利用したり、SNSで「いいね」をかき集めたり、何かを成し遂げたごとく「自己肯定感が上がった！」と大騒ぎをする人たちをお見受けします。これらの行為は自分の外部にある人や評価で、自身の傷を隠したり穴を埋めたりする行為とも言えます。自己肯定感が上がったように感じるのはただの過去の痛み止めとして、何かしらの高揚感を感じたに過ぎません。これでは常に周囲に依存し、いつまでも自立が出来ません。

アダルトチルドレンの課題に取り組むことは華やかさはありません。見ず知らずの人たちからの「いいね」も貰えませんが、ご自身の人生を取り戻すためには大切で必要なことなのです。

いつまでの周囲に頼りながら、自分の評価を追いかけていると苦しくなります。そのような人と一緒にいる人生で心穏やかに日々を過ごせるでしょうか。

他者に依存することなく、自分のニーズを自分で満たすことの出来る人のまわりに、自ずと穏やかな人のご縁が生まれるように思います。

過酷な環境で過ごされたアダルトチルドレンは、ご自身の課題に取り組むことで幸せになれます。恋愛も結婚も子育ても、そのシーンごとに幸せをかみしめることの出来る人生を送れるようになります。

青森県の十和田湖畔には、このような小さな島とその説明書きがあります。

～弱くて強い植物～

小さな島の上にマツが生えているのがわかりますか。このような岩場や尾根筋などの乾燥した環境条件の悪いところでは、他の植物との生存競争には「弱い」けれど悪い環境に耐えることのできる「強い」アカマツやキタゴヨウなどが生えています。