止められない不倫と止められない占い

カウンセリングでは見えてこない不倫の実情

SNSやアプリの普及に伴い、男女の出会いの場は非常に多くなりました。
男女が出会うチャンスは、既婚未婚に問わず、無数に存在します。
そして、「不倫」も珍しいことではなくなりました。

不倫や婚外恋愛といわれる愛のカタチも、年代、職業を問わず、50を過ぎても、60を過ぎても、相手の気持ちがわからない、相手の気持ちを知りたい、別れたくない、と苦しみ悩む方が、私の元に大勢いらっしゃいます。

私は、カウンセラーの仕事のほかに、国内大手の占いプラットフォームにて、鑑定を行い多くの恋愛相談を受けています。その数は、月に100件以上。その半数以上は、不倫による悩み、苦しみ、不安であり、20代よりも40代以上、そして50代と年齢が上がるほどに深刻な重みを感じます。

占いの現場は匿名性も高く、人には言えないことを思い切って相談できる、という利点があります。カウンセリングでは見えてこない、心の叫びにも似た「思い」も沢山伺います。

今回は、占い現場から見えてくる、不倫関係を手放すことが出来ないその理由を掘り下げていきます。

カウンセリングと占いの違い

占いの仕事は、カウンセリングとは全く手法が異なります。
どちらも寄り添い、共感は共通ですが、カウンセリングは情報を提供しながら、現状をどう変えていくか、提案をしながら、一緒に考えていきます。

占いはまず答えです。何よりも答えが求められます。
相手が自分を好きなのか?気持ちがないのか?この先どうなるのか?答えを出して不安を解消していかなければなりません。
あまり好ましくない結果であれば、慎重に表現や言葉選び、不安を少しでも解消するような言い回しに変えていきます。
それでも、中には怒りの強い人もいて、鑑定中に八つ当たりをなさる方、怒りに任せて、もう鑑定を止める!と言う人もいらっしゃいます。

ほとんどの不倫のケースで占いに来る女性は、「別れたい」と言いながらも、本気で別れようと思っていません。
別れようとしている相手の心を知るために、わざわざお金を払うでしょうか?

占いに来る心理には、あきらめたくない、という意地のような、本来は相手を思いやるはずの感情が、怒りと悲しみによって、執念に変質してしまっているケースが非常に多い印象を受けます。

そして、共通して聞かれることは「私はどうしたらいいのでしょうか?」「連絡をしてもいいのでしょうか?」というご質問です。
主体的に動くことが出来ない、誰かの指示がないと何も出来ない、この状態こそが、いわゆる占いジプシーといわれる、次から次に答えを求め、そして依存をしてのめりこんでいく、という負のスパイラルを生み出しています。

不倫をしている側、不倫をされてしまった側、そして、不倫の末に、相手から連絡を絶たれてしまった人、送ったメッセージが未読のまま5年経っても忘れられない、不倫から略奪婚をしたものの、今度は自分が奪われる番と怯えている人、どこまでいっても「恐れ」「不安」に支配されているケースに溢れています。

一言で「不倫」と言っても、相手が既婚の場合、未婚の場合、お互いに既婚の場合では心理状態が異なります。
それぞれの心の内側は、どのようなものなのでしょうか?

恋愛の相手が既婚の場合

恋愛の相手が既婚の場合、圧倒的に多い鑑定依頼は「彼の夫婦仲がどんな状態なのか?」という質問です。
夫婦仲が良いとがっかりとするし、夫婦仲がすでに終わっているような内容を伝えると、離婚しそうか?それはいつか?と時期も気になります。

恋愛相手が既婚の場合、未来を描くストーリーは、彼が離婚をして、自分と結婚をすること。

このストーリーをいかに現実にするか、彼の心を自分のものにするために、不倫する側の女性は必死です。
相手に捨てられること、自分が選ばれないこと、それを思うだけで苦痛となり不倫の関係に溺れ、そして、沈まないために占いに縋ってきます。

しかし、ほとんどの不倫のケースは、相手が離婚を選択することがなく、現状のまま、不倫関係が続いていくケースが多いのも事実です。

出会った頃、付き合い始めた頃には、相手の家庭を壊すことまでは考えていなかった、でもだんだんと自分の気持ちが止められなくなってきた、という話もよく伺います。
そして、不倫期間が長いほど「自分の時間を犠牲にしてきた」「このままでは終わらせない」という思いが強いことも特徴的です。

愛情とは互いを思いやり、そして、優しさや安心感を与え合う、お互いを尊重できるものであるはずが、自分のことだけに視野が狭まってきます。

相手への思いやりや愛情よりも、いかに自分が愛されるか?が目的となると、本来の愛情が変質し、エゴとなり、そして執着の塊となって、いつまでも相手の気持ちにしがみつこうとする心理が働きます。

このような状況になると、お相手が心理的な距離を置きたがります。
やがては、約束をドタキャンされたり、仕事を理由に、会う時間が減ったり、そして既読のまま、返信をしない、場合によっては、ブロックをして、未読状態となり、残されたご本人は、占い鑑定だけが、今の相手の状況を知る唯一の方法となり、彼の気持ちを取り戻すために占いから離れなくなるという状況を生み出していきます。

恋愛の相手が未婚の場合

女性が既婚で男性が未婚の場合、女性の年齢が上で、さらに、男性との年齢差があるというケースのご相談を多く受けます。

面倒見の良い女性は、甲斐甲斐しく年の離れた若い彼のお世話を焼きたがります。付き合いはじめは、お互いのニーズが満たされ、良好な関係を楽しむようですが、女性は年下の彼がいつか自分のことを飽きてしまうのではないか、という漠然とした不安を抱え、そして、少しでも不安な行動や言動があると、占いに来ては、彼の心を確かめようとします。

共通して聞かれることは「他に女性が出来たのではないか?」という不安です。
家庭があり、場合によってはお子さまもいる女性が、夫以外の男性について甲斐甲斐しく世話を焼き、そして、自分のエネルギーを注ぎ込むのは、何故なのか?
その背景には、
満たされない思いがあるようです。

妻として、母親として、何をやっても当たり前であり、感謝もされない、自分の存在は何なのだろうか?何をやっても虚しい。
そんな心のすき間に、まるでパズルのピースのようにぴったりと収まるように、年下の若い恋人が出現する。
女性として扱われ、甘い言葉でささやかれる。

日常生活の中で満たされない思いを彼が埋めてくれます。
気持ちは高揚し多幸感を感じ、この多幸感にハマっていきます。

気が付けば、多幸感欲しさに、金銭の援助をしたり、男性の要求に応えたり、かつて家庭の中で納まっていた日常がどんどんと歪んでいきます。
やがては夫の知るところとなったり、または、彼が飽きてしまう、様々な要因によって、ロマンスを継続することが不可能になる。

会えなくなった彼、心の中にいつまでもいる彼、また会いたい、連絡が欲しいと思っても叶いません。
それは、彼のことを忘れられないのではなく、あの時に感じた多幸感や高揚感を忘れることが出来ないことに、本人は気づいていません。

このようなケースは新しい別の恋人を作る場合もあるし、1人の人を思い続け、何年も前に送ったメッセ―ジの返信を待ち続けながら、「また会えるはず」というロマンを抱き続けて日常を送る場合もあります。

一度味わった多幸感と高揚感を再び取り戻すために、占いにのめり込んでしまう、耳心地の良い鑑定結果を得られるまで、いろいろな占い師を渡り歩く、散財をしてしまう、というケースが溢れています。

既婚者同士の恋愛の場合

W不倫の相談も非常に多いのが占いの世界です。
職場が同じ、子ども同士が同級生、きっかけが同窓会、さまざまなケースの中で、W不倫の場合はいくつかのパターンが存在します。

~お互いの夫婦関係が良好な場合~
家族関係がうまくいっていても、ふとしたきっかけで、配偶者以外の異性と親密な関係になることがあります。このような場合は「お互いの家庭を壊すつもりはない」「離婚するつもりはない」「会える時に会えればいい」というスタンスが多い印象です。
干渉や束縛がない分、周囲に知れ渡ることがなければ、関係が長く続く傾向があります。

~お互いの夫婦関係が険悪な場合~

夫婦関係が冷え切ってしまい、家庭内別居や、仮面夫婦の状態で、配偶者以外の異性との間で愛情を育てる、このパターンは非常に多いケースです。
お互いに離婚を成立させて、結婚することがゴール!という目標を設定しがちですが、そうは簡単にはいきません。
そこには離婚、結婚観に対する男性と女性の温度差があるからです。

女性は配偶者に対して、嫌となれば、比較的早い段階で離婚に進み、場合によっては離婚を成立させます。
不倫関係にある既婚女性の離婚へのハードルは低いのです。
私を幸せにしてくれるのは、旦那じゃない!彼なのよ!彼しかいない!
この思いが離婚へのエネルギー源となり一気に離婚成立まで走り抜けます。

それに引き換え、不倫関係にある既婚男性の離婚へのハードルは高いのが特徴です。

いくら夫婦仲が悪いとはいえ、不倫する男性側は、今の家庭を捨てて、離婚をするまでの決意がない場合が多いのです。

不倫関係だから、楽しい、夫婦になったら口やかましく言われておしまい!
男性が離婚には積極的にならない背景には、このような理由があるのでしょう。

夫婦関係が険悪な男女の不倫では、女性は確約された愛を求めるのに対して、男性は、一時の安堵を求める。

お互いの家庭がうまく行っておらず、不倫関係において相思相愛であっても避けられない男女の温度差を感じます。

この場合の占いでの主な相談は「彼が離婚をしてくれない」「彼の離婚話が進まない」という内容がほとんどです。

彼の離婚はいつ頃になりそうか?

自分が先に離婚をして家庭を手放していれば、焦る一方です。
本当に離婚をしてくれるのか?
不安も募るばかりです。

「早く離婚をして、いつまで待たせるの?」と女性の要求をかわしながら、とっくに冷めている自分の家庭に帰る男性は、家庭そのものに、安心できる場を求めていないのかもしれません。
男性と女性では、そもそも求めるものが違うので、離婚に注ぐエネルギー量も違う。

自分の思い通りのシナリオにならない焦りの中で、W不倫の女性は、彼の夫婦関係の様子を知りたがり、離婚の時期を知りたがる、そして、彼の気持ちが全て自分に向くように、愛と執着を履き違えながら、愛されたい気持ちに溺れるように、占いの沼にハマっていく姿が印象的でもあります。

恋愛というロマンスに酔う

私の元には、毎日、多くの恋に悩む方々が「彼の気持ちを知りたい」とお越しになります。
占いの腕試しをなさるように、ご自分の背景や状況を多く語らない方もおいでです。
鑑定の内容をお伝えしながら、ご納得なさると、信頼関係が芽生えてきます。
すると今度は、何も聞かなくてもいろいろなお悩みや不安をお聞かせ下さいます。
それは大変だったですね
ずっと辛かったのですね
お寂しい気持ちが伝わってきました
このように共感をすると、涙され、今まで抱えてきた悲しみや怒りの感情をお出しになることもあります。
それを受け止めるのが私の仕事なので、感情的になっても大丈夫、と伝えます。
このあたりの対応は、占い師によって、それぞれのようで、中には威圧的な態度の占い師や、ひたすらに耳心地の良いことしか言わない、いわゆる「あげ鑑定」をする占い師もいるようです。

占いの現場を通して、不倫に悩む多くのケースは、恋愛というロマンスに酔っている状態だと感じます。

心の痛みを和らげてくれる、辛いことを忘れさせてくれる、そして、ほかでは認めてくれない自分の存在を、耳心地の良い愛の言葉をささやかれたり、感謝されたりすることで、一時的に得られる自己肯定感に酔いしれます。少しでも不安な要素があれば、今度は占いによって、その不安を解消しようとします。

私は愛されているのか?
彼に他にいい人は居ないか?

少しでも不安な要素があれば、今度は占いによって、その不安を解消しようとします。

心の空洞を埋める恋愛

大人になる過程の中で、誰もが、親や学校、さまざまな環境で傷つく体験をします。
その深い悲しみや辛さが、心の真ん中に空洞を作ります。

「私なんて」「どうせ自分なんか」

このように自分を否定する言葉を自分に投げかけることで、心の空洞はどんどん広がっていきます。
この空洞を埋めるのは、本来は自分の仕事なのです。
しかし、それに気づかず、外部のモノや人、行為で埋めようとすると、依存症となる傾向が非常に強いです。
不倫関係を手放せない女性の多くは、自己否定感が強く、褒められること、頼りにされること、に大きな喜びを感じます。
その反面、認めてもらえない、無視をされる、といった状態は非常に苦痛を感じます。

新しい恋愛を始めても、相手を変えようが、この喜びと苦痛を繰り返すことは変わりません。
心の空洞を誰かになんとかしてもらいたい、と思っているうちは、喜びと悲しみのジェットコースターのような感情の落差に振り回されることから逃げることが出来ないのです。

気づいた人から幸せになっていく

占いに来るお客様のなかで、500人にお一人くらいの割合で、自分の空洞との向き合い方を見直して、自分で自分の心の空洞を埋めようと新しい考え方、新しい生き方に気づかれる方たちがいらっしゃいます。

「彼のことは好きだけど、連絡があろうがなかろうが、何をしていても、どうでもよくなりました」

「彼のことより、自分の好きなことをするほうが楽しくなってきました」

「考え方を変えたら、仕事も家族との人間関係も、前よりうまくいくようになりました」

こういったお声を伺うたびに、いちいち感動してしまいます。
本当に素晴らしいな、ご自分の力で立っていらっしゃるな、と感じます。

占いからまったく遠のいてしまうこともなく、迷ったときには、自分の考えの答え合わせにいらっしゃる、依存するのではなく、とても上手に占いをお使いになり、ほど良い距離感でお付き合いくださるクライアントさんに、私も励まされる思います。

最後に

不倫関係にあった彼から、ブロックされて5年が経ちました。
今も彼を忘れることができません。彼から連絡が来るでしょうか?

このようなご相談に対して、「もう無理に決まっているでしょう」「いつまで待っているの」「新しい人を見つければいいのに」と思われる方もいいでしょう。

一見、非現実的な願いも、ご本人にとっては、必死の願望です。占いの世界では、このような鑑定は決して珍しいことではありません。

不倫に走ってしまうにも理由や原因はあり、そして、相手への執着に変質してしまう原因は、当事者の人間性や性格の問題のほかにも、ご本人の育った環境や経験してきた悲しみ、喪失感が影響するように思います。

怒りや淋しさの扱い方を間違えて、不倫という関係性の中で、怒りや淋しさを解消しようとした結果、結局はまた新しい怒りと淋しさを生み出してしまう。

この負のスパイラルに気づいた人から、執着を手放し、そして、楽に生きるような選択が出来るようになっていきます。

楽に生きられるようになるか、気が付くか気が付かないかは、出会った人次第です。
その出会った人の一人として、カウンセラーでも占い師でのどちらの立場からも、執着を手放せるようなきっかけとなる、伝え方をこれからも続けていきたいと心から思います。

カウンセラーも占い師も、お客様の人生の選択の答えは持っていません。
答えを持っているのはご本人だけです。
ご本人が、答えに辿り着くように、気づきに出会える環境を作ることが大切なのだと考えます。

目先の数字を増やしたいために、無駄に不安を煽ったり、感情的になったり、都合の良いことだけを伝える占い師も残念ながら数多く存在します。
また、自分の考えこそが正解、とごり押しするあまりに、お客様が余計に傷ついてしまうというケースもよく聞きます。

どんな恋愛であれ、目の前の人の気持ちを想像して、その痛みを理解してさしあげることが何よりも大事なことと考えます。
私は裁く立場ではありません。

不倫についてのカウンセリングは以下の申し込みフォームよりご連絡をください。
また、リコラの森では、占いの受付はしておりませんのでご了承ください。

本記事における無断転載を禁じます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする